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2021-06-10

奧四万十の旅①隈研吾の建築だらけの町

森のようなイメージの「雲の上の図書館」


 町の面積の9割が山林という高知県梼原町は別名「雲の上のまち」。かつて林業で栄えました。今は町ごと建築家・隈研吾のミュージアムの様相を呈しています。
 隈氏といえば、東京五輪のために設計した新国立競技場が有名ですが、木材を多用する原点はここ梼原にあります。不景気で仕事がないときに町に来て、木をふんだんに生かした建物に目を見張ったといいます。ここから、周囲の環境と調和した「負ける建築」の発想が生まれました。
 1994年の「雲の上のホテル」を皮切りに、2018年オープンの「雲の上の図書館」まで6つの隈建築が町内にあります。スギやヒノキを存分に使った図書館を訪れました。天井からぶら下がる木材は森を表し、書庫へと誘う階段は棚田をイメージしています。
 司書のセンスも光ります。ユニークなテーマで本を並べたり(「脱ウォール~龍馬脱藩の町だからこそ」なんてのがありました)、高知県出身者が創業した模型メーカー・海洋堂のフィギュアを飾ったり………本のチョイスと合わせ、気の利いた本屋のようでした。
 図書館はコミュニティに欠かせない知的インフラです。こんな素晴らしい図書館がある町は過疎であっても未来があると感じました。(治)

日本の伝統的工法を使った「雲の上のギャラリー」

地元産品が買える「マルシェ・ユスハラ」

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