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2021-07-01

奧四万十の旅③和紙の伝統を守る外国人

工房のまわりの草木をとるロギールさん

 高知県梼原町の山奥には、オランダ人の手すき和紙作家、ロギール・アウテンボーガルトさんの工房兼宿があります。2020年の秋、紙漉き体験を目的に泊まりに行きました。
 この日は、ロギールさん自らが手すき和紙ができるまでを教えてくれました。山で育てて、乾燥させておいたコウゾを水にしめらせ、木槌でたたくと、繊維がからみあい、丈夫な和紙になります。そこに庭で採取した草花を散らし、なんとか「作品」と呼べるものができました。

山で採取した和紙の原料

 ロギールさんは、和紙を壁紙やランプシェードなどに仕上げ、モダンなインテリアに生かすことを提案しています。泊まった部屋にも、和紙を柿渋で染めたり、シダを散らしたりと、さまざまなテクニックを駆使した壁紙が使っていました。

シダの模様が和紙に映える

 ロギールさんはオランダ出身。製本の仕事をしている時に和紙に出会い、1980年に来日。土佐和紙で有名な、いの町で修行して、92年に梼原町に移住したそうです。和紙の職人が減り、材料は輸入品がほとんどになった中、地元産の材料と伝統的な技術を維持するのは楽なことではありません。外国人の方が和紙の使い道を広げることで、その難題に取り組んでいることに感動しました。

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